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読書中の店主さん

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Meet The Books

●かごしま文学館 向田邦子記念館

 転勤族だった向田邦子の一家は、短い間ですが、鹿児島市内に住んでいたそうです。向田邦子はこころのふるさと鹿児島を「鹿児島感傷旅行」というエッセイに書いています。

 かごしま文学館の一室の向田邦子記念館を訪ねました。

 テレビのインタビューに答える彼女のやや早口な山の手の言葉が、室内を流れています。家族を描きながらも独身であった彼女の人生、道半ばで散った悲劇の最後。そう思うと、洋服や食器など日常品の一つ一つに彼女の息遣いが感じられました。

 

 街の繁華街、天文館という場所の近くで鹿児島ラーメンを食べました。最初に大根の漬物が出てきます。ラーメンは煮豚チャーシュとキャベツの千切りがのっていて、スープをすすると九州の豚骨ラーメンというより沖縄のソーキそばを思いだしました。

 お腹いっぱいになったところで、レンタサイクルを借りて小さな温泉に行ってみました。濡れたままの髪を髪留めでまとめて、お目当ての古本屋さんを目指しました。

 入り口の小さなドアを開けると、回廊式の通路とそれに続く青い本棚が迎えてくれます。優しそうな店主さんが奥のレジの椅子でずっと本を読んでいました。

三島由紀夫の旅本を購入しました。

 

 素晴らしい街の古本屋さんに別れを告げて、桜島を見ようと港まで自転車を走らせました。

桜島は、鹿児島湾に空と雲をいただいて鎮座。

こんにちは。思わず心の中でそう言いました。

 

 ホテルに向かってペダルをこぐ自分の背中を、夕焼けとフェリーの汽笛が押してくれます。

歩道に沿ってつらなる白い紙灯篭がほのかに子供たちの名前を照らしていました。

 明日は夏祭りなのです。

 

 

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