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~ほかの世界から~​
短編小説集~海外編


ちょっと早起きして大人の朝読書時間。毎日一編の短編を読みました。

​なぜ短編トライ?
★小説を読み始めて途中で挫折することってありませんか?
 私は何度もあります、、残念です。
 でも、短編小説だと「難しい、無理かも、、」とあきらめかけても、結末はすぐそこ!と自分を励まして、読み終えることができます
★”ひより的”短編小説の愉しみとは?
 短編小説を読むと、すれ違いざまに出会った知らない人と、なぜかお茶することになって、いきなり秘密を打ち明けられたような気持ちになります。

 妬みや悩み、不安や恐怖、傷ついたこと、喜びや小さな希望、、​、、誰かの心に密やかに、そっと触れる感じです。
その哀しみや喜びが自分の中にもあることを感じてハッとします。
★繋がり
 今回は、遠い世界を旅するつもりで、海外の短編集を読みました。ほかの世界を探すつもりでしたが、自分の心の内を覗いた気がしました。​
それでは、短編ガイドへ♪ 結末は伏せて簡単に紹介しています。
目  次
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​『巨大な翼をもつ
   ひどく年老いた天使』
 「純真なエディンバラと邪悪な祖母の信じがたくも痛ましい物語」 
  ガルシア・マルケス
『ザワークラウトスープ』
 「路地裏の子供たち」 
  スチュアート・タイベック
『セン夫人』
 「停電の夜に」ジュンパ・ラヒリ
『奴児』
 「白い豚の毛、黒い豚の毛」
  閻連科  
 


【迷宮へと誘う短編】

『商人と錬金術師の門』
 「息吹」テッド・チャン
『もう一つの耳』
 「ウインドアイ」
  ブライアン・エウソン
『言葉人形』
 「言葉人形」
  ジェフリー・フォード
『ウィティントン少佐』
 「蝶を飼う男」
  シャルル・バルバラ  
 

 

大人のユーモア】

『赤い背景の恋人たち』

 「戦時の音楽」
  レベッカ・マカーイ
 『ぼくがしようとしてきたこと』
 「雪山の白いトラ」
  ディウ”ィット・ゴードン 

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​「純真なエレンディランと邪悪な祖母の信じがたくも痛ましい物語」
​ガルシア・マルケス
​~海の匂い~
G・ガルシア=マルケス (著), 野谷文昭 (翻訳)河出書房新社
『巨大な翼をもつひどく年老いた男』
 
 舞台は、海の近くの村。そこに住むある男が、中庭で天使を見つけることから物語は始まります。天使は、薄汚れた格好で泥の中でもがいてます。羽もボロボロです。でも確かに天使であることは間違いありません。
 奇跡を願う人々や大勢の病人たちが、羽を持つ男を見ようと次々に押しかけます。物見高い人々によって大騒ぎがはじまります。ところが、見世物小屋の”蜘蛛少女”が巡回してくると、人々の興味は、あっという間に彼女に移り天使の存在など気にしなくなります。
 天使は、敬われることもないまま鶏小屋で冬を越すのでした。
​ラストが印象的です。



 こんな天使のイメージ、珍しいですよね。

 村の人にはわからない言葉をしゃべる天使は、誰とも会話が成り立ちません。

 騒々しいクラスメートたちとは距離があって、お昼休みに教室の隅で、一人で哲学の本とか読んでる人、宇宙図鑑を開いている人、、そんな人を思い出しました。

 背中の大きな翼は、空に飛び立つために必要なんだけれど、ちょっと今は使えなくて休んでる。
 彼方の雲にはきっと、会話の通じる仲間の天使たちが待ってるかもしれませんね。

 ガブリエル・ガルシア=マルケス 1927年コロンビアのカリブ海沿岸地方の内陸にある寒村アラカタカに生まれました。​作風は魔術的リアリズムと言われ、1992年にノーベル文学賞受賞。
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​「路地裏の子供たち」
​スチュアート・タイベック著
 
柴田 元幸 (翻訳) 白泉社

 
『ザワークラウトスープ』
 
 アイスクリーム工場で、アルバイトをしながら学費をかせぐ”僕”の狭いアパートには、”本”がぎっしり詰まっています。

 そう彼は、読書家です。
 高校生の頃に『地下室の手記』から読み始め、『悪霊』から『白痴』、『罪と罰』をも読み切る男なのです。
​ 文学に深く感動できる、感受性の強い若者です。

 ところが、家には『シェークスピアなんかより、よく設計された橋の方がはるかに価値がある』という父親がいて、彼の人生の先行きは怪しげです。
 この先の将来、何か大事なものを奪われるような不安を抱えながら青年期を過ごします。

 大人になった彼は、郡の福祉課で働いています。大都会の吹き溜まりのような場所で、いかがわしさや暴力と切り離せない日常を繰り返しています。
 
 そんな彼に自分を取り戻させてくれたのは、路地の小さな食堂のザワークラウトスープでした。
 
 路地裏の片隅に、一杯で一年分の幸せを約束してくれる奇跡のスープを見つけた日から、彼には良いことばかりが続いたのです。

 スープを頼めば頼むほど幸福がやってきそうです。そんな奇跡を起こすスーブ。さぁ、彼は2杯目のスープを頼むでしょうか?

 実際、大都市の路地裏では、毎日、様々な化学反応が起きていると思います。奇跡とも偶然とも呼べるようなことが。
 幸せを呼ぶザワークラウトスープを食べさせるお店があったとしても、ちっとも不思議じゃありません。​
 雑多なものが混じり合って、人間同士も絡み合って、何もかもが、沸騰した渦巻きの中へと煮込まれる魔女のスープ鍋みたいな大都会の下町。

​ 思春期に文学を友としていた青年の決断は?

 スチュアート・タイベック
1942年シカゴ生まれ。ポーランド系移民の子として労働者階級が暮らす地域で育ちました。オーヘンリー賞受賞。

 怪しげな行商人を追いかけて子供達が走る「パラツキーマン」もおすすめです。
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​「停電の夜に」
​ ジュンパ・ラヒリ著 小川 高義 (翻訳)新潮文庫
​  ~スパイスの匂い
『セン夫人の家』
 
 エリオットの母はキャリアウーマンで、父親は単身赴任中です。
母親が、自宅で子供を預かるという広告を目にしたことから、
エリオットはセン夫人の家で放課後を過ごすことになります。
 セン夫人は大学教授の夫と共にインドからアメリカに渡ってきたのですが、アメリカの生活に馴染めないでいます。彼女と過ごすうちにエリオットは彼女の孤独を理解していきます。
 料理が得意なセン夫人の家は様々な香辛料の匂いや材料を刻んでいく音で満ちています。

 
 ところがある日、夕食に必要な魚を買いに行くため自動車ででかけ、エリオットを乗せたまま、事故を起こしてしまいます。セン夫人は免許を取るために練習中の身でした。


 物語は、セン夫人の孤独に寄り添いながら進みます。
手料理やセン夫人の丁寧な暮らしぶりが、ドライでファーストなアメリカの文化と対照的に描かれます。エリオットは、セン夫人の暮らしぶりが珍しく、その豊かさに感じ入っています。

 故郷から届く便りを読んでは、懐かしさと寂しさの間で心揺れ動くセン夫人と過ごすことで、エリオットは別の世界に触れます。


ジュンパ・ラヒリ
 1967年ロンドン生まれ。カルカッタ出身の両親と幼少時に渡米しアメリカで育ちます。
 
 アメリカ育ちでも、インドとは切っても切り離せません。お料理の場面はスパイスの匂いが香ってくるかと思えるほどです。読んでいて元気が出ます。
 インドを舞台に寄るべない女性を描いた『ビビハルダーの治療』もおすすめです。
​オーヘンリー賞、ピューリッツア賞受賞。
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​「白い豚の毛、黒い豚の毛」
​ 閻 連科(えん れんか)
著 谷川 毅 訳 河出書房新社
 ~草の匂い
​『奴児』

 奴児は12歳の女の子です。
 病気の父と幼い妹、働き詰めの母親を助けるために、遠縁のおじさんの草刈りを手伝っては家計の助けをしています。
 おじさんは牛を十数頭飼っています。
 その中で、奴児はお気に入りの牛”黄金”を可愛がっています。、黄金を弟のように感じる奴児、黄金は奴児を姉のように慕っています。

「…おじさんは黄金を自分に売ってくれると言った。もしそれがうまくいけば…」貧しい生活の中、奴児は考えます。

 ところが黄金はある日病気になってしまいます。山で黄金のために草を集める奴児。そんな彼女の意に反して、おじさんは奴児に了承もなく黄金を売り払ってしまうのでした。


 山々の自然の匂いや色の美しさが眩しいです。

 小さな小さな夢、幸せへの希望を握りしめている時、その時を幸せって呼ぶのかもしれない、と思いました。山での厳しい労働は、決して奴児の心を傷つけてはいないと思いました。
 奴児は、貧しくて、いろんな問題も抱えていて、それでも黄金と一緒に美しい自然に囲まれていた時、輝いていた。



 閻 連科は1957年中国河南省の貧しい村に生まれました。フランツ・カフカ賞受賞。
​ 農村を舞台にハチャメチャな村長と人間の逞しさと信頼を描いた『柳郷長』もおすすめです。

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『息吹』
​ テッド・チャン 大森望訳 早川書房
​『商人と錬金術師の門』

 過去と未来を行き来することができたら?
 カイロに未来へも過去へも通じている”歳月の門”があることを知ったバクダットの商人アッバスには、戻りたい過去の日がありました。
 それは愛する妻ナジャを事故で失った日でした。

 未来も過去も決して変えることはできません。そのことは、アッバスにはわかっています。
しかし彼は、どうしてもその時間その場所に戻りたいのです。運命は変えられない、けれど、彼女の気持を知りたいから。

20年前の事故の日を訪れたアッバスの前に、病院でナジャをみとったマイムナが、ナジャの最後の伝言を持ってあらわれます。

 過去に戻っても、未来を変えることはできない。
運命を受け入れることがイスラムの教義の基本にあるそうです。​

 ナジャとアッバスの愛の絆はどのような結末を迎えるのか、、

 絆というものは、信頼の上に結ばれるもの。信頼は、真実無しには築かれないもの。
​でも、真実を探しに、歳月の門をくぐるのは、少し怖い気もします。

 人間って、都合の良いように改変しながら(正当化しながら)自分を生かしていたりしますもの。
(テッド・チャンはこの短編集「息吹」の中で、すべてを記憶する未来が来たら、、という短編を書いているんですけど、過去の思い出が父娘の間で、真逆の隔たりがあったというお話です。)
 
 歳月の門をくぐって過去に行くことも未来に行くこともできるんです。どちらに行ってみたいですか?

 テッド・チャンは、1967年にニューヨークに生まれました。
ヒューゴ賞(SF最大の賞)を受賞しています。
『息吹』の巻末には、作品ノートとして著者自ら、各々の短編について解説してくれています。ブラウン大学では物理とコンピューター科学を学んでいて、先端科学を題材にした作品が多いです。
​ 「罪のない人がなぜ苦しまなければいけないのか」をテーマにした「地獄とは神の不在なり」でヒューゴー賞、ローカス賞、ネピュラ賞受賞。
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『ウィンドアイ』
​ ブライアン・エウ”ンソン
 柴田 元幸 (翻訳)新潮クレスト・ブックス

​『もう一つの耳』

 イストウ”ァンは、戦争で左耳を失います。
ところが二週間後、もう一度、地雷で吹き飛ばされた時、運ばれた野戦病院で、すでに失っていた左耳の部分に、別の誰かの耳を縫い合わされてします。
 その耳から知らない男の声や息づかいが聞こえてきます。やがて戦火をくぐり抜けていくための指示も。声の主は、彼を助けているように思えるのですが、『前へ進め』という声にしたがって辿りついた先には、、


 八雲の怪談に出てくるような怖い話が、不均衡な居心地の悪い文章で綴られます。
 人間の皮をかぶる無気味な少年の話『グロットー』や、いるはずの妹を母親からその存在を否定される表題作の『ウインドアイ』など本当に怖かった。

 なんだか危険な小説だと思いました。
 でも、待てよ、、。
この怖がらせようという妙に真剣な態度、、なんだか記憶にあるな、、ムム、、
 
 そういえば、小学校とか中学校の時、変な親切から、怖い話を聞かせたがる男の子がいたのを思い出しました。本人は100%良いことをしている気分で、怖~い話をしてくるんです。
必死に話してるその男の子の顔つきが鮮明に記憶に残ってます。

エウ”ソンの怖い話を読んで、えーっちょっとちょっと!と笑えるといいな、、って思いました。

 ブライアン・エウ"ンソンは、1966年、アイオワ州に生まれ、敬虔なモルモンン教徒として育ちました。
 O・ヘンリー賞受賞。『もう一つの耳』で描かれた感覚は耳の手術を著者自身が受けた時の経験に拠っているそうです。

 
 
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蝶を飼う男
​ シャルル・バルバラ(著) 
​  
亀谷 乃里 (翻訳)国書刊行会


 

​『ウィティントン少佐』

​ パリ郊外に四方を巨大な壁で囲まれた邸宅を作り、自動人形の家族や友人、召使たちと暮らすウィティントン少佐の物語。

 隣人が、屋敷から聞こえる騒音について訴えたために、司法官と二人の司書がウィティントン少佐の邸宅を訪れます。

 玄関では、レールの上を走ってきた召使が、彼等を迎えます。
 屋敷には、ぎこちなく動き、話す硬い眼差しの自動人形たちが大勢います。少佐の妻も娘も友人も、皆自動人形です。幸せに暮らしているかのような少佐ですが、内実は、憂鬱と倦怠の条虫に蝕んでいる自分自身を救いたいと願っています。
 どうすれば、少佐は本当の幸せを手に入れることができるのか、、
 
 
 屋敷の中では、正義の鎧をまといながら、司法官らに応対するウィティントン少佐。
 人間不信から自動人形たちとの生活を選んだというのですが、その理由は、首を捻るものばかりです。例えば、彼が恋に落ちた美しい妻の、許せない裏切りの行為とは、抒情詩の詩作が趣味だったから!
 
 人間と関わらないことで完全な幸せを実現するべく、自動人形との暮らしに突っ走る彼の原動力は、”怒り”です。
 
 新奇で蠱惑的なその世界に、思わず幻惑され取り込まれそうになりますが、、少佐が本当に幸せになるためにはどんな結末がいるのでしょう。
 150年前に書かれたSFですが、現代的な話題とテーマで興味深かったです。
​ テクノロジーと人間の生活の融合って、今まさに進行中だし、、
その中で憂鬱で倦怠な不幸がやってくるのかしらん?

​ シャルル・バルバラ 1817年 フランス オルレアンに生まれる。パリ高等音楽院に学ぶ。
 
 
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言葉人形
​ ジェフリー・フォード
谷垣 暁美編集 東京創元社


 

​『言葉人形』

​ 道に迷って「言葉人形博物館」を見つけた私に、館の主の老婦人が語る奇妙な物語。
 野良仕事に駆り出される子供たちを慰めるために、作られた言葉人形。様々な職業をかたどることで、厳しい労働と離れた想像の世界を与えるものでした。
 ところが、エウ"ロンに渡されたのは”刈り取り人のマンク”でした。心を慰めるべきものを労働そのものにする冷酷な仕打ち。
 なぜなら、エウ"ロンは納屋に火を放つような悪い少年として、村でみなされていたのです。
 そして起こる、恐ろしい出来事とトウモロコシ畑に見え隠れする刈り取り人マンクの影。

 
 

 想像の世界を奪われるなんて、、心理的な罰、冷酷な裁きですね。

 空想好きの少女時代を過ごしたので、刈り取り人のマンクを渡された少年には同情しました。
​ この言葉人形のアイディアは、心の設計図をよくわかっている人が考えたらしいんですが、、
​ 心を操るなんてあってはいけないことじゃないのかな?
​ 自分の心の設計図は、自分でわかっていたいです。今、書店に結構、心を操る系の人間関係やコーチング、リーダーシップ本が並んでますけど、それらを見かけると、
「自分の心の設計図は隠しておきたい、、」
って思っちゃいます。

 ジェフリー・フォードは、1955年、ニューヨーク州生まれ。
​SFやミステリー、ホラーなどジャンルを越えた作品を書き、世界幻想文学大賞 ネビュラ賞など多数の受賞歴がある。
 
 
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​戦時の音楽
​ レベッカ・マカーイ
 
藤井 光 (翻訳)新潮クレスト・ブックス

 

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​『赤を背景とした恋人たち』

 不動産の販売の仕事をしている私は、恋人のラリーとある理由から喧嘩中。
そんな彼女のもとに、アップライトの天板を押し上げて、バッハが出てきます。
 バッハとの暮らしは、淡々と静かに語られるので、ちっとも不自然さを感じません。兄や父との音楽にまつわる思い出が語られ、赤を背景とした絵の説明から、ラリーと私の関係と喧嘩の理由が明かされていきます。
 ジャズの虜になり、ショパンの楽譜をハノン練習曲風に弾きこなす手元では、フリルが揺れます。優しさと少し哀しいユーモアが音楽を纏って傷ついた彼女を慰めます。


​ 不思議な物語です。主人公の女性には、どうやら、とっても困っているみたいです。

 私の場合、大人になって、困ったことに直面した時、心の中にいる小さな子供が
「どうしよう!どうしよう!」と言い出します。


 恋人たちのすれ違いの理由は、書かれていないので、想像するしかありません。
ただ、彼女が一生懸命それを乗り越えようとしているのが伝わってきます。そこで呑気にピアノを奏でるバッハはとてもいい味をだしています。

 この短編から、落ち込んでる時に元気を出す方法を考えてみました。

 ・時間が必要!
 ・一人の時間をのんびり好きに過ごす
 ・言い返さない人に、とにかく話しを聞いてもらう
 ・思い出に浸る(今までの人生のできごとを辿る)

 レベッカ・マッカーイ1978年生まれ、両親ともに言語学者。父は、1956年のハンガリー動乱の折にアメリカに亡命、シカゴ近くの街で育つ。
 
 
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​雪山の白い虎
​ ディウ”イット・ゴードン
 青木千鶴 (翻訳)早川書房

​『ぼくがしようとしてきたこと』

​ 文筆を生業として、ニューヨークで暮らすディビットのもとに、はるか南米の女子大学生から、彼こそが、論文のテーマであるという手紙が届きます。
 驚くディビット、なぜなら、彼はまだ一編の小説も世に出してはいないのです。
『あなたは、重要な”非重要人物”である”。』美しいレティシアが説明します。

 高名な文筆家の謝辞の中に、ディビットが度々現れることから、インスピレーションを与える人物として注目しているというレティシアに、ディビットは舞い上がります。

 情報社会に翻弄される、”まだ何者でもない”作家未満の中年男性のぼやきを、大人のユーモアのうちに描く一編。

 言葉や仕草の一つ一つに、大人のユーモアが漂います。

 自分を笑える余裕、自分を落としてのジョークに好感が持てます。登場する女性たちは誰も彼の渾身の小説を読もうとしません。

 読めばジョークを飛ばしたくなる物語。

 ジェフリー・フォードは、1967年、ニューヨーク州クィーンズ出身。コロンビア大学。
アメリカ探偵作家クラブ新人賞にノミネート。日本で「このミステリーがすごい!」「ミステリーが読みたい!」などで海外編1位の人気作家。​
 

お読みいただいてありがとうございました。

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