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翼文庫
Little Hiyori and Tyobi
里山レシピ~Misoスィーツ~
~バナナ、ママレード、Misoケーキ~
昔は、家々によって味が違うと言われた”味噌”。
それぞれ違った美味しさを持つ味噌の謎、きっと、個性豊かな里山的世界に繋がってると思います。
里山や味噌蔵を舞台に、東京の読書人が巻き起こす騒動を描いた短編をご紹介したいと思います。
『もだえ苦しむ活字中毒者の味噌蔵』
椎名誠
角川文庫
椎名誠 著
物語は『本の雑誌』の編集長である主人公が、発行人であるめぐろ・こうじに殴られる事件から始まります。
復讐に燃える主人公が、活字中毒者であるめぐろ・こうじを西奥多摩の味噌蔵に閉じ込めるまでのお話。
みなさんは、活字中毒者ですか?
めぐろ・こうじのマンションは、本、本、本でいっぱいです。その本棚には『男なら一日7冊』『南無阿弥読書』「目指せ八万冊』といった貼り紙が並ぶきわめつきの活字中毒者です。
☆流し読みと真剣読み、本の読み方について
さて、前半では、このめぐろ・こうじと沢野ひとしの読書の仕方が比べられていて面白いのでご紹介したいと思います。
『しかし、見ているとこのめぐろ・こうじの本の読み方というのはけっして早いというわけではない。読むスピードとしてはふつうの人と同じ程度なのである。、、(中略)、、
よくいう流し読みというのはけっしてしないのだ。
めぐろ・こうじの読み方というのは、そんなに早くないけれど非常に着実なのだ。
いつも真剣に読んでいるといっていい。』
めぐろ・こうじは、雑誌の発行者なのですが、大変な読書家です。読書に対する姿勢は、いわく
『流し読みするような人は人間的に何か欠陥があるんだと思う。」と口にするほどです。う~ん、、
対して沢野ひとしさんは地方に出張すると、立ち寄る駅ごとに、同じ作者の文庫本を立て続けに買っては、バーッ!買ってはバーッとすごいいきおいで読んでいくそうです。
『沢野ひとしはよく地方に出張することが多い。こやつが本を読むのはたいていその旅のあいだなのだが、、、、まず、出発する駅の売店で文庫本を一冊買う。大藪春彦の「復讐の弾道」とかなんとかそういったものだ。、、(中略)、、明らかに流し読みであり、一冊を30分くらいで読んでしまう。
全体になんとなく沢野ひとしのあたまの中には、大藪春彦の描いた世界がごっちゃにからみあってひとつ存在しており、それは前回の出張の時にやっぱり集中的に読んだ山本周五郎の世界とはちょっとちがうなということがなんとなくわかる。』
勿論、流し読みを習慣は、その人の人格の良しあしには何の関係もないですよね。
むしろ、旅先の隙間時間に同じ作家にこだわって読むというこの沢野流読書術、なんとなく楽しそうでとても惹かれます。真似してみたいです。
30分で文庫を1冊を読む沢野さんに比べ、めぐろ・こうじさんは一冊に、2時間から3時間はかけるようです。気が散ることもなく丹念に集中して読んでく”真剣読み”、うらやましいです。
けっこう気が散っちゃう方なので、、、
~里山のレシピ 里山を散策する楽しみ方
さて、めぐろ・こうじは奥多摩渓谷のある村に誘いだされます。
まさか味噌蔵に閉じ込められるとも知らずに、、。
その味噌蔵は、主人公の伯父の家の敷地内にあります。
リアルとフィクションが混じり合い、ユーモアたっぷりの語り口の中に、乱歩?横溝正史?みたいな怪奇さも漂わせながら物語は進みます。
結末は、、、
里山の資源をいかした商品化の試みがいろいろ登場するので興味をひかれました。
ジャムやお茶、、里山を歩きながら、いろんな商品を考えるのも楽しいそうだなって思いました。
~ tea break ~
里山スィーツ Misoバナナ
完全無農薬の夏みかん(ふだんほったらかし、、)を使った手作りマーマレードと農家の方の手作り生味噌を使ってケーキを焼いてみました。
バナナをよくつぶし、生味噌とよく混ぜるのがポイントです。
切り分けて冷凍、オーブンで温め直して食べましたけど、コクがあって美味しかったです。
~本の紹介~
『味噌大全』
味噌にかかわる文化や信仰、栄養について解説してくれます。
『古事記』や『日本書紀』で、日本古来の発酵調味料について一切ふれていないのはなぜなのか、”味噌”の名前の変遷に秘められた日本人の精神など、踏み込んだ仮説やスリリングな見解が盛沢山の一冊。
最後の章には、味噌が登場する文芸も集めてあります。味噌に関する本は多いけれど、この本ならではの特集だと思います。
栄養や滋養についても詳しい、まさに味噌についてのすべてを詰め込もうとした本。おすすめです。
お読みいただきありがとうございます。
ひより図書館、春の里山散歩から夏の海旅へと続く予定です。
お暇な時にお立ち寄りいただくととても嬉しいです!
~胡桃味噌のおやき~
東京堂出版 渡邊 敦光 (監修)
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